政府の方針に従わず、中国大陸で戦線を勝手に拡大し、やらせテロまで演出して泥沼の侵略戦争に日本を引きずり込んだ旧日本軍。その軍人たちは敗戦後、どの面下げて人前にでられるのかと思うのだが、えらそうに自衛隊で教官をしていた者も多いという。もちろん、敗軍の将、兵を語らずという潔い旧軍人も多くいる中で、今風にいうと「鈍感力」の高い者ほど権力をふるうということなのかもしれない。
そういうレベルの人間に教育された、その教え子たちのレベルも推して知るべしと言うところか。 朝日新聞によると、
航空自衛隊トップの田母神(たもがみ)俊雄・航空幕僚長が「我が国が侵略国家だったというのはぬれぎぬ」などと主張する論文を、民間企業が主催した懸賞論文に応募していたことがわかった。旧満州や朝鮮半島の植民地支配について「現地の人々は圧政から解放され、生活水準も格段に向上した」と評価するなど、政府の見解に反する内容で、浜田防衛相は31日、田母神氏を事実上更迭する方針を固めた。
論文の題は「日本は侵略国家であったのか」。ホテルチェーンなどを展開するアパグループが主催する第1回「真の近現代史観」懸賞論文の最優秀賞(賞金300万円)に選ばれ、31日に同社のホームページで公表された。
論文は中国への侵略について「中国政府から『日本の侵略』を執拗(しつよう)に追及されるが、我が国は蒋介石により日中戦争に引きずり込まれた被害者」など、一貫して日中戦争や太平洋戦争での日本の役割を正当化する内容。自衛隊についても「集団的自衛権も行使できない。(東京裁判の)マインドコントロールから解放されない限り我が国を自らの力で守る体制が完成しない」と不満をつづった。
ごく最近の話で考えても、先日のNHKスペシャルで、日本軍がいかに広大な農地にわざわざアヘンを植えて中国大陸に蔓延させ、阿片窟のような店を経営して中国をむしばんでいったかが明らかにされ、大東亜共栄圏なんて全くのでたらめであることなどわかりそうなものなのに、日本がいいことをした、などという間抜けな話は「偏った考え」などでは片づけられない。こういう人間に人殺しのおもちゃを握らせている、それに税金も払っていると思うと背筋が寒くなる。
それにしてもこの懸賞論文を「最優秀」としたアパグループ、一体どういう経営者がやっているのか。物事にはいろんな立場や考え方があることは当然だが、この論文はただのアホである。一理ある、などという価値すらない。こういう会社ということなのだろうか。
まあ類は友を呼ぶというところか、これについて聞かれた麻生さんはいう、
麻生首相は31日夜、首相官邸で記者団に「オレ、それ(論文を)読んでいない」としながらも、「個人的に出したとしても、それは、今、立場が立場だから、適切じゃないね」と語った
そうである。いっていることは正論だが、今いっちゃまずいよ、だってもうすぐ解散だもの、ということだろう。こういう人間がコントロールすることをシビリアンコントロールと言っているのなら、なんと愚かな仕組みであることか。
なんにしても、「更迭しました、はいおしまい」というのであれば、「盗んだ物を返しました、これでいいんでしょ?」というのと同じで、旧日本軍から連綿と続く自衛隊の本質になんのメスも入らない。おそらく自衛隊の内部は日本で最もタチの悪い新興宗教のマインドコントロールの中にあるのだろう、こういう集団に税金をつぎ込むくらいなら、その分で闘犬用の犬を放し飼いにした方がよほど安全である気がする。更迭で幕引きはあり得ない。
最も問題なのは麻生であり、彼自身の考えは本人のコメントに現れているとおり、この論文と同レベルである。ナチスの亡霊のような人たちが未だに救っているこの政権そのものがイカレている。北朝鮮の人たちも自国の政権についてほとんど無頓着であろうが、日本の方が一応言論の自由があるだけにかえっておそろしい。自由な選挙を教団内部で行ってもなおいかれた教祖が選出される教団に未来があるのだろうか、我々自身が再度考える必要があるのではないか。
歴史修正主義者
自衛隊や総理大臣、さらに、アパグループに対する批判は仰る通りなので、少し異なる意見を言わせて頂きます。 歴史教育に関して、ごく当たり前の愛国心と1895年から1945年までの近代史を、いかに両立させるかについて、どこか居心地の悪さを感じるのは、私だけでしょうか?
第2次対戦終了時に政府が一番こだわっていたのが、「国体護持」すなわち天皇制の維持だったのは皆さんもよくご存知でしょう。 しかし、戦後の新憲法の下で民主主義が導入された後は、軍部の戦争責任は東京裁判以外は政治的に何も清算されず、(軍の最高責任者を兼ねていた)昭和天皇も退位しませんでした。 従って、現在でも歴史修正主義者を厳しく禁止する政治的土壌が育っているとは必ずしも言えないのではないか、というのが私の考えです。
国民の間に育っているのは、『 戦争はいやだ 』という雰囲気だけであり、日本軍国主義が戦争を起こして隣国や自国民に多大な迷惑をかけたという認識は不足していると思います。 実際にそんな状況を物語る事実として、今回のこの件に関して、当初には「当時の村山談話の内容に反している」とする報道がなされた現実があります。(なぜ、政府の公式的歴史認識に反していると率直に言えないのか?)
そんな状況下では、歴史修正主義者達が否定されないままに温存されるわけです。 勿論、「自民族と自国の歴史を称揚し、自民族の優越点と道徳的優位を探し出して強調するともに、周辺諸民族の劣等性を強調する。 あるいは、周辺諸国もしくは利害関係のあった周辺諸民族との比較に基づいて自民族の優越を語る」歴史修正主義者は世界中におり、愛国者とも呼ばれるので、厄介な問題ではあります。
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