最上の帽子は頭にのっていることを忘るるような帽子である。最上の政府は存在を忘るるような政府である。
----徳冨蘆花「謀反論」

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 罪刑法定主義とは、どんなに不道徳で気にくわない行為であっても、あらかじめ法律で犯罪と刑罰が決められていなければ犯罪とされないし、処罰もできない、という原則である。
 だから、行為のあとでそれを処罰する法律を作り、さかのぼって処罰するのは許されない(事後法の禁止)。
 また、「馬を殴ったら懲役一年」という法律をロバを殴った人に適用することもできない(類推解釈の禁止。但しシマウマは微妙か)。
 ほかには、「馬をなぐると懲役に処する」。これもだめである。懲役といったって何年かまったくわからず、これでは法律で犯罪と刑罰を定めたことにならないからだ(絶対的不定期刑の禁止)。

またアホなこと言いだしやがって、といわず、もうちょっとで私の主張が出て参りますんで・・・
 このあたりまでが古典的に言われた罪刑法定主義の内容である。
 つぎに「交通秩序を乱したら懲役1年」という決まりはどうだろう。「交通秩序を乱す」なんてずいぶんあいまいで、どんな行為が処罰されるかわからないのではないか、一応問題になる(明確性の原則)。
 さらに、最近では、「法律さえありゃいいんだろ」ではなかなか許されず、その法律が不合理なものでは許されない、というところまで拡張されてきた。だから、「万引きしたら無期懲役」なんてむちゃくちゃ重すぎるのはアウトだろう。このあたりになってくると結構微妙で、不合理なものを許さないといえば聞こえがいいが、「これじゃ軽すぎる」というふうにも働く余地があり、危険でもある。

別件処罰を禁止すべし
 この先がやっと私の主張なのだが、先日大阪のほうの大学院生でウイルスを作って撒いた人が逮捕されたらしい。罪名は著作権法違反だそうである。ウイルス作成や配布自体を処罰する法律がないので、おそらく間に合わせで、無理に著作権法違反とし、アニメのキャラクター画像に何か加工をしたことを罪に問う、ということだろう。
 だが、ここまで罪刑法定主義の話をしてきて、何か違和感を感じないだろうか。ウイルスを作る行為はもちろん迷惑である。処罰したい、その気持ちも当然だ。
 そこで、著作権法違反。これはどうだろうか。「なんだ、ウイルスを作ったり、撒いたりする行為自体は犯罪じゃなかったのか。そこで、そういう手を使ったんだな、一種の裏技だな」というような印象ではないだろうか。人気アニメの画像をちょこっと加工して、こんなのどうだと見せびらかしたり、撒いたりするのはネット上でいくらでもある行為で、特に誰も目くじらを立てたりしていなかったからだ。

 これは、別件逮捕ならぬ、別件処罰といえないだろうか。別件逮捕というのは何とかして身柄を拘束して吐かせたくて、普通なら問題にもならないような犯罪でとにかく身柄拘束し、締め上げ、重大なほうの事件を自白させるというやり方である。冤罪の温床になっていることは周知の通り。
 私のいう「別件処罰」も似たようなもので、「処罰する法律はないが、とにかくけしからん。何とかして牢屋にぶち込みたい」と、普通なら問題にならない、処罰も考えられないような罪で起訴し、有罪にする。これは本当は、罪刑法定主義に反するのではないか。
 だから、罪刑法定主義の派生原則として、「別件処罰の禁止」を入れるべきではないかと思う。

日本の刑法ナチスに似たり(但し運用)
 電気が普及し始めた頃、そりゃ誰だってやるだろう、電気のメーターのところをバイパスして自分の家に電気を引き込むやつが現れた。どう考えても、泥棒と『同じ』だ。金銭的な被害もそれなりにあるし、行為の性質として一回性のものでなく継続的に行われるからタチが悪い。が、厳密に言えば泥棒ではない。だって「物」を盗まなければ泥棒じゃないからである。
 そこで、日本の裁判所は電気というエネルギーも「物」だとした。これを肯定する論理は、「盗みというのは、人の管理を侵害する犯罪だ。電気は人が管理できる、だから電気をとれば盗みだ」というようなことになる。そう言い出せば「馬を殴って処罰されるのは、荷物を運ぶ貴重な手段を害するからだ。ロバも荷物を運ぶ貴重な手段だ。従ってロバを殴っても同じ罪だ」ということも可能となる。ちょっと極端な言い方だが、この人たちの発想によると、馬はロバで黒は白だ。
 いずれにせよ、日本の裁判所はこんなでたらめを認めた上で有罪とした。その後、電気を盗む行為を処罰する法律改正をしたのである。おそらく、「今後誤解のないように、念のため」ということだろうが、こそくな手段である。罪刑法定主義違反を認めたようなものである。
 同時期にドイツ(もちろんナチス登場前)でも同様の事件があったが、ドイツの裁判所はこの被告人については罪刑法定主義を厳格に適用して無罪とし、法律改正をしてから堂々と処罰するようにした。ドイツではおそらく犯人を一人逃がすことになっても、法律や国家に対する信頼のほうが大きいと考えたのだろう。日本では、法律を適当にねじ曲げて「処罰したいやつを処罰する」。この態度は、自由主義者からナチス刑法だのソビエト刑法だのと非難されるやり方と大して変わらない。

 もう一度言うが、この犯人を逃がせとか許せというところに主眼があるのではない。どんな手段を使ってでも牢屋にぶちこめ、というやり方をする、自由な刑法の運用は、逆に国民を不自由にする。こいつは悪いやつだから、とルーズな運用を認めていたら、必ずこちらにブーメランのようにかえってくる。

 ちょっと人にこの話をしたら、処罰っていうより目玉が飛び出るほどの賠償金を取ればよいのではないか、という意見が聞かれた。
 なるほど。ただ、目玉が飛び出るほどの賠償金を取るというのは日本では無理。これにこそ国民の意見が反映すれば、と思うのだが、その一つである裁判員制度は刑事事件だけ。民事に適用したらアメリカ企業が損をするかもしれないため、植民地国ではアメリカ様が認めてくださらない。そのうえ、民事だと過失でも責任が発生するから、マイクロソフトなどが吹っ飛ぶかもしれない。

刑罰に期待しすぎ
 でも、この人の発想はいいと思う。死刑に関していつも思うことなのだが、刑罰なんて何か起こってしまってからの後始末に過ぎない。そんなものに過大に効果を期待されても困るのだ。子どもが高価なものを壊したときに、ぶん殴るか、ほっぺたをつねるか、物置に閉じこめるか、どれが一番「せいせいする」だろう。でも何をやっても、どうせ戻ってこない。それよりこれからこんなことがないように家をしっかり片づけよう、と前向きに考えた方がずっとよい。もちろんこの発想は政治家には次ごうが悪い。格差を拡大しているやつは誰だ、犯罪の根本原因は何だ、と考えられると困る。だから、「みんなでこいつに石を投げつけてせいせいしようよ」というところだろうか。

てなわけで、今週の都々逸
ジョージソロスに言われる前に
自ら達成脱ナチ化

コメント

ははははは。一本とられました、今週の都々逸。

川柳にも飽きました

やはりこれからは都々逸ですよ。都々逸ワールドカップなんてどうかしら。

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