いつもちょっと話が古くて申し訳ないのだが、国民負担率のニュース(毎日新聞1/24)
租税負担+社会保障負担
国民負担率 = -----------------------
国民所得
| アメリカ | 34.5% |
| 日本 | 40.1% |
| ドイツ | 51.7% |
| フランス | 62.2% |
| スウェーデン | 70.7% |
国民所得は国で生み出された1年間の富。できあがった物の合計で計ってもいいし、お給料、配当などで計ってもいい。諸外国との比較を表にすると左のよう。日本は3年連続で過去最高となっているらしい。
GDPが上がっていたら割合が減るはずで、空前の
好景気のようなことをいっていたくせに、どうして上がるのか全く理解できないところだ。
まあ景気の話はいい、問題は一体このダマシ数字で何が言いたいのか、である。スウェーデンは高福祉だが高負担だ、といいたいのだろうか。確かに、スウェーデンは70%くらい持って行かれるように見えるが、実際には「あずかる」だけで、政府は素通りして、そのまま右から左へ50を国民に配る。それがばらまきかどうかは別として、金額としては
国民から集めてそのまま国民に配るので国民は負担していない、のだ。
100万円もらったお給料のうち70万円天引きされたが、同時に50万円振り込まれた、その場合国民は負担を感じるだろうか(但し、金持ちは多くとられて貧乏人は大きく戻ってくるので、これは全体としての国民の話である)。
スウェーデンの本当の国民負担率は、20%そこそこである。日本は40%ほど集めて15%ほど配るので、本当の国民負担率は25%ほど。スウェーデンより負担は重い。
だからスウェーデンの国民負担率が高い、というのは騙すための数字といってよく、実際日本の財務省だけが、こういう誰も問題にしていない「国民負担率」なる数字を発表し続けているらしい。もちろん官僚の出す数字というのは数字そのものがウソということはない。だから、こんな数字で国民を騙すのか、と聞かれたら、おそらく「数字の解釈は受け取る側の問題」とでもいうだろう。
それを知っていて、毎年「国民負担率」なる数字を発表し、スウェーデンの数字を付記することを忘れない。こんなダマシがいつまで通用するのか、「国民負担率の賞味期限」は切れることはないのだろうか。
ここまでの話は
以前した。問題はこの先である。
再度いうが、ここまで考えても日本はスウェーデンより高負担国家である。
◆ 国債、財投債を入れると・・・ 問題はこの先である。実際には、私たち国民はもっと負担している。
実はこの「国民負担率」の数字には国債が入っていない。渡したお金だけでもべらぼうに高いのに、このお金で運営できず、勝手に借金をふくらませているのである。この借金はもちろん、国民が払うのである。この借金の負担を入れると実質的な国民負担率は47%を超えるのではないかという(これを「潜在的国民負担率」と呼ぶ人がいる)。
実はこれではまだすまないのだ。これに財投債が入る。国債自体の発行は減らしておいて、財投債を逆に増やして実質的に借金をふくらませているのである。2001年末で44兆円だった財投債は2004年に122兆円、つまり、毎年26兆円ずつ増えている。別に国が借金をしているのでないならよいではないか、とも思うが、特殊法人に借金をさせ、その保証人になっているのである。保証人といえば被害者のようであるが、他人に借金させて無駄遣いをあおる、恐ろしい保証人もいたものである。国債の発行を何兆円か押さえましたといいながら、毎年26兆円もの借金について保証人になる。その分を考慮に入れると、おそらくドイツを超えるだろう。
◆ サービスはどうなのか これですむほどこの日本は甘くない。さらにこの先が問題である。
世界一高いといえる負担をさせられ、受けるサービスはどうだろうか。例えば、高くなった国立大学の学費。ヨーロッパでは無料かそれに近い。彼らは税金を払っているから、十分なサービスが受けられるのである。ところが、日本は世界一の負担をしながら、そのサービスは受けられない。それらを考慮していくと、世界最高の負担をしながら、おそらく先進国最低水準のサービスしか受けられない、ということになる。
小泉さんが以前、低い負担でヨーロッパ並みの高福祉を求めるのか、などといったことがあった。とんでもない。世界最高といっていい高負担で最低のサービスしか受けられないのが日本人である。
会計検査院のページ(2.の第三)より
「国民負担率」は文字どおり国民負担水準の指標とされるが,国公立学校の授業料,公立福祉施設の利用料,保険医療の患者自己負担等の受益者に義務づけられた公的負担や,在宅介護や企業福利厚生に要する私的負担は「国民負担」に含まれない。しかし,患者自己負担の引上げによって医療保険料の抑制を図るという政策にみられるように,これらの「国民負担」と強い代替関係にある諸負担を合わせて考えなければ,広く国民の負担を捉えることはできない。
果たして、官邸にいるのは本当に政治家なのだろうか。私たちはどの国にも議員がいて、首相や大統領がいる。日本にも同じような外見の人間がいるから似たような仕事をしているとでも錯覚しているのではないだろうか。まるで、よその教団のトップにローマ法王がいるから、うちの教祖も似たようなものだと思っている哀れな教団の信者のように・・・。
北欧の福祉受益は所得制限がない
国民負担率が「70.7%」で、スウェーデン国民がどうして日々食うに困らないのかと不思議に思わないで記事にする毎日新聞記者のおつむの中身が知りたいですね。
そうですね
そうですか、誰に配られているかという点はあまり気にしていませんでした。マスで見るだけではだめですね。ありがとうございます。
朝日もそうなんですが、批判しろとまで言いませんが、国民負担率がどのようなものであるか、有効性はどの程度かの問題提起くらいはきちんとして欲しい気がします。ただ政府の広報機関をするだけなら、津々浦々までお上の恩恵を届けるためにやってます、それが私のいう「ジャーナリズム宣言」です、と宣言してもらいたいです。
はじめまして。
エントリの論旨には影響はありませんが、国民負担率の分母はGDPではなくNI(国民所得)ではないでしょうか?
なお、昨日(?)に引き続き、批判的なエントリーをTBさせていただきました。3本あるのですが、「その1」のみ送りました。ご一考いただけると幸いです。
3つ目のエントリーの最後で述べたのですが、私としては、Luxemburgさんのような主張から、どのような「未来への展望」が開けるのか、ということに興味があります。
なお、批判されるのは気持ちの良いことではありませんが、私としてもLuxemburgさんへの悪意はなく、書かれた内容について批判を述べたつもりですので、そのあたりは人格攻撃と受け取らず、おおらかに受け止めていただければ…と思います。(表現等に不手際があればお詫びいたします。)
そうですね
いえいえ、ご批判ありがとうございます。すばらしいことだと思います。うちのエントリーは補足の説明をするかどうか別として、内容的にはこのままでいきます。どちらが納得できるかについては読者にお任せするというのが妥当でしょう。
展望ですか、道路問題に見られるとおり、まずむちゃくちゃな無駄遣いをする政府を取り替える、その先に何が見えてくるのかというのは将来の問題と思っています。
たとえて言えば、教科書検定で文科省の介入を批判し、どんなにひどい検定であるかを述べたとします。ではどんな教科書がいいのか、どんなビジョンを持っているのか、といわれても、ただやめて現場などに任せれば、という主張もありうるわけです。私はそういう意味では自治的な、自立的なものを結構信頼しています。やめさせるだけで、追い出すだけでよくなる、そういうスタンスはあり得るわけです。
ただ、財政については、所得再分配の面では大きい政府である必要はあるとおもっています。日本政府は、精神面や無駄遣いの点では大きい政府だが、その面では小さい政府が望まれる、というのが私の見解ですね。
お返事どうもです。
これは反論とか批判ではないんですが、私が懸念するのは「無駄遣い」は財政再建や再配分とはひとまず切り離して「財政の民主的統制」の問題として論じるべきで、財政再建や再配分の強化などの財政の歳出入の構造の話とは切り離した方がいいと思っております。
究極的には、これらは完全には切り離せないでしょうけど、日本ではあまりにもごっちゃになっている気がして。
道路の無駄遣いにしても、「国交省のレクリエーションに使われた」という話がよく出ます。それ自体たしかに国交省は批判されるべきですが、それと「財源をどうする、どれだけ必要だ」という話は全然別で、数百万や数千万円のちっぽけな話で5兆円をどうするかという大きな話がうやむやにされてしまう。逆に5兆円を減らす根拠として数千万円のことが理由にされるとしたら変ですよね。
日本の財政の議論って、そういうのが多すぎて、それが今の低福祉の状態を放置している原因の一つだと思うんですよね。というか、行政の「無駄遣い」という話自体が、90年代の新自由主義を普及させようとする人たちが、官僚批判のツールとして使ってきたものですから、よほど気をつけて使わないと、勢力の強い人たちの言い分の実現に繋がると思っています。新自由主義を奉じるのは財界や政治家の一部に多いですから、「無駄遣い」を強調すると必ずそっちに行くだろう、というのが私の考えです。(私は90年代の地方分権の議論を調べてきた経緯があるので、このことは痛いほど感じるんですよね。。。)
長々と書いてしまいましたが、今回、批判させていただいた中で、自分の中でもいろいろと閃いたものがあって(それはブログには未だ書いていませんが)有意義でした。ありがとうございました。
期待しています
分かり易い
何か違うなと思っていたのですが、日本の現在の体制は、ヨーロッパ各国でおこなわれている「社会民主主義体制」ではなかったのですね。これだけ分かり易い物差しと数字で説明されると日本社会は、「全く別物」だと分かりました。
私も官僚社会主義体制という言葉を聞いていらい何か、識者が行ってる社民主義と日本は違うなと思っていたのですが、ありがとうございます。
ところで、私の管理しているブログで紹介しても宜しいでしょうか?
山崎氏が書かれてるように、5万/月 所得税30%の基本プランでしたら、現実的に可能(現在の経済活動にもいい影響をを与えるのでは)のような気がします。当然医療保険や今までの年金制度との、リンクのさせ方(財源的にも)など問題点はありますが、いかがでしょうか。
eagleさまコメントありがとうございます
そうするとベーシックインカムは日本でこそ最初に実施すべき制度と考えられますね。8万円250万円、所得税一律40%あたりを一つの基準として導入するのが妥当と思います。
負の所得税もかなり考えたことがありますが、ベーシックインカムの方がシンプルですね。以前のエントリーで、消費税の逆進性を消滅させるために基礎給付をすればどうかということも書きましたが、これらのいずれかの方法は真剣に検討されなければならないと思っています。
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