最上の帽子は頭にのっていることを忘るるような帽子である。最上の政府は存在を忘るるような政府である。
----徳冨蘆花「謀反論」

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DATE: CATEGORY:江戸・明治維新
渡辺京二さんの本を中心に江戸時代について考えてきた。
思ったことは二つある。

一つは、幕末に日本に来た外国人がしきりに日本の民主性についてふれていること。公的な選挙制度もない時代にどうして「民主性」などといえるものがあるのか、という疑問も湧く。
投票や多数決=民主主義と思いがちであるが、それは民主主義のごく一部、一面に過ぎない。どんな専制国家でも、民衆の支持がなければ維持していけないという意味では、すべての政治体制は民主的である。逆に形式的に投票権を与えていても毎日マスコミが繰り返しウソを流して、洗脳し続ける戦前の日本のような体制では、民主主義とはいえない。
 だから、投票などが行われるかどうかは民主主義の一側面として重要でないとはいわないが、実質的な観点から見れば構成員が平等に取り扱われ、価値が等しいというコンセンサスのある社会が民主主義といえる。戦前の日本のように男子普通選挙制が採用されていても、ある者は特攻という自爆テロを国家的組織的に強要される一方で、ある者は安全なところでぬくぬくし、毎日図上演習で虫けらの死骸の数を数える。こんな社会がもっとも民主主義から遠いところにある。さらに、こんな戦争をした日本を正しいといってみたり、美しかったりするという政治家が権力を持つ現在もまた、もっとも民主主義から遠いところにあるというしかない。
 江戸時代の日本について外国人がいう、「この国のあらゆる社会階級は社会的には比較的平等であり、大西洋のアングロサクソンよりも根底においては民主的である」とはこういう意味であろう。ときどき「日本に民主主義はなじまない」などという人がいるが、逆である。日本はむしろ世界的に見て民主主義の大先輩かもしれないのだ。

もう一つ感じたこと。
昔を懐かしがってため息をついているとしか思えないような議論が時々ある。例えば、アメリカ原住民の人たちの精神的な文化を賞賛するハリウッド映画が作られたりする。「ダンス・ウィズ・ウルヴス」や「ラスト・モヒカン」などがその例だが、そういう映画では、彼らの純朴さを銃で破壊した西欧の汚れた文明、という図式が描かれる。しかし、次の瞬間ほとんどの人は、「そうはいっても、彼らのような生活に戻れるわけがない」と思い直す。そこで思考は停止する。
確かに100人くらいの集落なら互いを思いあうことができるほど十分小さいサイズの社会だし、人口に対して十分な土地があるから、食料がなくなれば移動すればいい、のんきな社会かもしれない。だから、人口も違う、それに対する土地だって限られている現代社会でそんな郷愁に浸ってみても仕方がない、という話になりそうだ。そうすると江戸時代へのあこがれのような話は、ただの黄金伝説や桃源郷物語のように片づけられるのがオチかもしれない。
 しかし、日本の江戸時代はそうたぐいの話とは異なる。当時の江戸はパリと競うほどの巨大都市であり、限られた面積を有効利用し、リサイクル社会を作ることによって巨大な人口を養うことができた、最先端の都市といってよい。だから、江戸時代について考えることは、わずかな人数が広大な土地を転々として生きていく、という今や実現不可能なおとぎ話ではない。だから、日本の伝統=明治という洗脳から逃れ、日本人に本当に実現可能な社会の一つのモデルとして、江戸時代をとらえなおす必要があるのではないかと思う。
コメント

mottainai

リサイクルとかモッタイナイとか推奨される時代ですが江戸時代は究極のエコ社会、完全なリサイクル社会だったらしい。
今では完全に失われたが、高度経済成長の前、60年以前の日本の社会でも、幾等かはその残滓はあった。
社会から「リサイクル精神」が完全に無くなってからですよ「リサイクル」が叫ばれるようになったのは。
{ヤマダ電機が廃棄用の「リサイクル家電」を本当にリサイクルして通産省から注意処分をおけていた。)

晴耕雨読で早雲さんと封建制の復活論議で盛り上がったことが有るが、江戸後期を封建制と捉えるだけでなく産業革命以前の社会では、最高度の技術水準に達していた農本産業国家であったのでしょう。

ブログ主はすでに以前から気付いているとは思いますが、この本は「歴史教科書」以上に政治的(イデオロギー的)問題を孕んでいる。
この本にも書いて有るように、西洋人たちの「肯定的日本感」に対して一番反発したのが、他ならぬ当時の文明開化を押し進めた、日本の知識人たちだった。
「しあわせな江戸庶民」「素晴らしい日本文化」は彼らのタブーだった。
そしてこのタブーは今でも「作る会」の信奉者達に受け継がれています。(彼らの主張の根拠が脅かされるから)

TBありがとうございます

拙ブログの方にもコメントいただきまして、ありがとうございます。その返事もかねて、コチラへコメントさせていただきます。

>日本人に本当に実現可能な社会の一つのモデルとして、江戸時代をとらえなおす必要があるのではないかと思う

まったく同感です。江戸時代というと、どうしても士農工商の身分制度が先に頭に浮かんでしまいますが、現在の民主主義の政治形態の上に江戸時代の農本主義的経済を復活させることは決して不可能ではないと思います。そしてそれは、環境新時代に求められる社会モデルの有力な回答になると考えます。

そう、たとえば、今でも残っている言葉で「江戸前」というのがあります。ご存知の通りかつて東京湾で獲れた豊富な海産物を指す言葉ですが、これは江戸という大都市があっての海の恵みであったとか。現在「森は海の恋人」などと言われ健全な森林と健全な海との関係が見直されつつありますが、かの時代はさらに一歩進んで、健全な都市が健全な海を育んでいました。

この一例をとってみただけでも、行き詰まりつつある現代社会に暮らす私たちが大いに参考にすべきモデルであることは、疑いがありません。

ここに・・・

賢者ばかりが集まっている。

コメントをする人も
TBのひとも
当然、管理人さんも・・・

このエントリーはありがたい
必ず人々の目が、見落としていた明治以前の江戸時代に向かうでしょう。少しずつ・・・

騒動の渦中ゆえ、名前は失礼させていただきます。
よしなに

リサイクル社会

藤田紘一郎先生が「ばっちいもの健康学」だったかで関東ローム層のような土地で巨大な江戸という都市が維持できたのは、排泄物で土地をよくしていったおかげ、よく落語で家賃を払わない店子の話が出てくるがあれは結構本当にあって、大家が排泄物を業者に売って結構稼いでいたから、まあ生きてる限り排泄もしてるんだし、家賃が取れなくてもしょうがないか・・・くらいのおおらかさもあったといっておられました。ものを大切にするということに加えて人間が自然のサイクルの中にはいる都市が江戸だったのかもしれません。

愚樵さんコメントありがとうございます

民主主義のとらえ方を矮小化することによって、明治以降の愚劣な時代を正当化してきたということなのかもしれません。150年前の外国人は、今の日本人よりはるかにそのことを理解しています。
きっとソビエトの政権もいかに革命前の社会が悪かったかを宣伝していたのでしょうね。そういう洗脳に乗っかっていた自分というのは本当におつむの弱い人間だと情けなくなります。
 海との関係はすばらしかったらしいですね。当時の三大美港といわれたどこよりも日本の港は美しい、という記述が出てきます。今や港湾といえば、利権のエサ場になっていますが。

mukimeiさまコメントありがとうございます

江戸時代のとらえ直しはだんだんに進んできているように思います。私は賢者じゃないけど、こうしてコメントを書いてくださる方に勉強させていただいて、多少は柔軟性を持てるようになってきました。今後ともよろしくお願いします。

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