最上の帽子は頭にのっていることを忘るるような帽子である。最上の政府は存在を忘るるような政府である。
----徳冨蘆花「謀反論」

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 読売新聞の社内広告ポスター、「編集手帳」について前回取り上げたが、今回は2回目となる。
 前回は「紅葉」をテーマにしたもので、文章が下手だ、という話を書いたのだが、今回は内容の浅はかさについて触れてみたい。

 今回のテーマは「いじめ」ということらしく、学校の校庭でひとり寂しげに歩く少年の後ろ姿の写真に、次の文が添えられている。

ひとの心を傷つけて
喜ぶ心さびしき者に
聞く耳はなかろうから、
中傷された君に言う。
蝿たちの集まりでは
蝶も「キモイ」と
陰口をたたかれるだろう
心ない者たちのうちにも
自分と同じ美しさを探しつつ、
君はひとり、
大人になればいい


 一言でいうと「いい気なもんだ」というところだ。
 いじめの廃絶には、社会、学校、親、子供たちそれぞれの努力が必要であり、マスコミも重要なプレーヤーである。むしろ、子ども、その中でも被害者にできることは極めて限られているだけに、新聞がしっかりとその役割を果たした上で被害者に語りかけるのであればわからないでもないが、読売新聞はいじめを発生させる環境を助長してきた元凶ともいえる存在でありながら、この上から目線は一体何様のつもりなのだろうか、と思ってしまう。
 いじめの発生原因については社会学者などの間で、ほぼ定説があるという。それは、閉じられた世界を作り、皆に画一的な行動を強制するような環境であると言われており、刑務所や軍隊、戦前の日本の教育などはその典型といえる。その反省に立って教育基本法ができたのだが、多くのマスコミはその方向性とは逆の役割を果たしてきた。特に、読売新聞などは逆コースの中心的な存在といえる。
 その結実ともいえるのが2008年の教育基本法の悪化だったが、産業界が求める従順な兵隊を供給し、日本の国際競争力を維持するのには役立っても、いじめのような副作用は必ず出てくる。それでも逆コースを推進する読売新聞をはじめとする多くのマスコミの立場は、昔の流行語でいうと「オオカミは生きろ、豚は死ね」であり、いじめに苦しむ子供に語り掛ける言葉などないはずである。

 そう考えて再度この文章を読んでみると、要するにいじめは自己責任と主張していると読めないでもない。

 そういう総論的な批判を別にしても、この文章はいったい何が言いたいのかわからない。
 醜いハエには、美しい蝶が異質に映るだろうという。みにくいアヒルの子、ということになるだろう。ほかのアヒルの言うことは無視して「ひとり大人になればいい」。せせこましい世界から白鳥の世界にとびたて。
 では、相手の美しさを探しつつ、とは何なのか。無視するんじゃなかったのか?いい人だって欠点があるし悪い人にもいいところがある、だからその人のいい部分と付き合うようにすればいいんだ、という意味なら、彼らの心の中に美しさを探す、という意味は分かる。もしそうなら「ひとり大人にな」るのはおかしい。

 支離滅裂というしかない文章だが、想像するに言いたいことは次のようなことか。
 いじめっ子もまた、小さい頃親から精神的な虐待を受けていることが多く、彼らもいじめの被害者で、それが連鎖して新たないじめを生む、という面はある。だから、同じ悲しみを抱えている被害者同士とみることもできる。これが「君と同じ美しさ」ということになるのだが、これを語って何の意味があるのか。
 マクロでみれば、こういう連鎖を指摘していじめの現象を全体として理解することは重要である。また、ミクロで考えても、精神分析などの場では重要であるという。例えば、親が社会的な成功者で子供に対しても厳格であった場合、小さいころから「こんなこともできないのか」と言われ続け、自分がダメ人間であると自信を喪失したまま成長したとする。そういう人がセラピーを受けたところ、「それは親が立派というより、親の弱さの現れなんですよ」などと指摘されて、つきものが落ちたように自信を持って行動できるようになることがあるらしい。
 しかし、そういう治療は、人間が過去に戻ることができないから過去に自分が受けた虐待を解釈するのであり、現在のいじめの対処になるわけではない。「モラル・ハラスメント」の著者、マリー=イルゴイエンヌによると、いじめに関しては、いじめる側が絶対的に間違っているのであって、相手を分析したり、理解したり共感したり、さらに相手も被害者であるから助けるなどと考える必要はないという。ましてやいじめを受けている子供にそれを要求するなどとは、残酷もいいところである。なにもいじめについての学説を整理して提示せよなどという気はないが、ある程度学問的に原因や対処が言われているのを何も知らないで、床屋政談レベルのバカ話を開陳するのは、愚かで有害である。

 結局のところこの文章は、無責任な上から目線のうえ、支離滅裂。さらに無教養な上に、いじめの問題については何も考えておらず、思考力と人間への愛を喪失した極めて空虚で冷酷な文章というしかない。
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