最上の帽子は頭にのっていることを忘るるような帽子である。最上の政府は存在を忘るるような政府である。
----徳冨蘆花「謀反論」

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 中国で4人もの日本人が死刑の執行をうけた。いずれも麻薬犯罪であるという。その執行数、さらにその犯罪の内容からショックを受けている人が多いと思うし、もちろん私もその一人である。ただ、日本も死刑存置国であることから、この事態のとらえ方にはなかなか複雑なものがある。
 日本は人を殺したときにだけ死刑が適用されるから、あんな国とは違うという人もいるかもしれないが、内乱罪や外患誘致罪などは人を殺さなくても死刑である。ただ現実にそういうことがないから適用されていないだけで、さらにいえば殺すに至らない殺人未遂でも死刑は可能である。
 そもそも何を重大犯罪であるとみるかはその国家の問題であって、いつも「内政干渉だ」などという人の言葉を借りるなら、それこそ「内政干渉」である。
 特に私などはマリファナはすぐに解禁とはいかなくとも、栽培による環境への効果、人体への効果、その使用方法や管理など前向きに検討すべきことは結構あると思っているが、それでもアジアの国々、特に中国において薬物が国家を揺るがす犯罪であるととらえるのは、歴史上やむを得ないことであると思う。
 いわゆるアヘン戦争当時はイギリス本国でもアヘンは合法であったという(禁止されたのは1868年:「マリファナの科学」による)。だから「アヘンを使って中国をぼろぼろにするようなやり方をするのが西洋列強である」と国民を恐怖させて戦争に向かわせた明治政府の宣伝をそのまま信じることはできない。しかし、その後日本陸軍は広大なアヘン畑を中国に作って中国人に耕作させ、アヘン患者の治療のため、と称してアヘンの吸引所を開き、裏金を作っていたことは有名な話で、この行為こそが「アヘンを使って中国をぼろぼろにするようなやり方」である。シベリアに攻め込んでは傀儡国家を建設し、次に中国の奥深くまで攻め込んでこられた経験を持つ中国の人が、薬物犯罪に対してきわめて厳しい態度をとることにどういう歴史的背景があるのか、ということ自体は知っておくべきであるように思う。
 ところが、朝日新聞などは薬物犯罪は軽いんだとでもいいたいのか、「大阪の普通のおっちゃんが、なぜ・・・」などと書く。大阪で「おっちゃん」というのは愛称である。「善人」と訳せるわけではないが、親しみやすい善人、くらいの意味といっていい。もし、そういう人が中国で死刑になっているというのなら、中国に滞在している多くのビジネスマンはなぜ生きているのか?
 さらに友人たちが「悔しさをにじませた」というけれども、中国の刑事手続は適正なのかという疑問は、年中検察の発表を垂れ流ししている朝日新聞本社に向けた方がいいのではないのか。
 中国の司法制度がデタラメであることは公知の事実である、と堂々と言う人がいるが、司法制度がまともな国など世界中にどの程度あるのか教えてもらいたい。たとえば、調べてみれば死刑判決の3分の1が間違いのおそれが強いとわかったアメリカの例はどうなのか。
 よそのことはこれくらいにするとして、日本の司法制度どうか。おそらく先進国からみても奇異なほどデタラメだろう。植草一秀さんの事件でもそのことはよくわかる。被疑者が「監視カメラの映像を見てくれ」というのに対して、そのビデオは残っていない、と捜査側が主張し、それでも有罪になるような国などどこにあるだろうか。

 単なる司法制度というのではなく、死刑が絡むともっと深刻である。最近、足利事件で菅家さんが死刑判決から再審無罪となったが、当時のDNA鑑定ではまだ精度が低く、やむを得なかったかのような言い方がされるが、仮に精度が低かったとしても当時の足利市で700人ほど該当者が潜在的にいたとされる。結局決めつけて無理な自白を強要した捜査のあり方そのものが問われなければならないのに、何も変わっていない。おそらく、このような明白なミスが見つかるケースのほうががまれで、逆にこのことが「科学」信奉主義を深め、今後はこのレベルに至らないような再審無罪はかえって出てこなくなるのではないかとすら心配になる。その上、足利事件と同じく「当時のDNA鑑定」で有罪、本人は一貫してやっていないと主張している飯塚事件ではすでに死刑が執行されている。
 どんなに司法制度をよくしていってもやはり間違いというものは存在する。そして刑事事件で間違えた場合、カネでは解決できず、人の生涯の大事な部分を奪ってしまう可能性もある。それでも生きてさえいれば、少しおじさんになっても出てこれる。まだやり直すということは可能だ。死んでしまったら、何もかも終わり、それでも死刑が続く日本と中国、どちらの国にも救いがない。

コメント

ご無沙汰しています。

水葉です。いつ書いてくれるだろう、と心待ちにしていました。
私もこの件についてはとても複雑な気持ちです。内政干渉といえば内政干渉。でも、、、という。
その国の事情を勉強せずに軽率なことをした方が悪い・・・そういう自己責任論は、イラクで殺された香田君を思い出すんだけれども、香田君を自己責任にして、今回は「大阪のおっちゃん」だと擁護する。なんかちゃうんちゃう?と思ってしまいます。

中国バッシングのネタとしてしか扱われていない気もします。今回の中国の死刑を日本がどれだけ批判しようが、なんの説得力もないですよね。日本という国は、どこまで核心から目を逸らし続けるのでしょう。

Re: ご無沙汰しています。

> 水葉です。いつ書いてくれるだろう、と心待ちにしていました。

 ご無沙汰しております。死刑問題だとついつい「つられ」てしまいます。

> 私もこの件についてはとても複雑な気持ちです。内政干渉といえば内政干渉。でも、、、という。
> その国の事情を勉強せずに軽率なことをした方が悪い・・・そういう自己責任論は、イラクで殺された香田君を思い出すんだけれども、香田君を自己責任にして、今回は「大阪のおっちゃん」だと擁護する。なんかちゃうんちゃう?と思ってしまいます。

 イラクで立派な救助活動やボランティア活動をやってきた人たちの多くは幸田証生さんと同じく、まずこの目で見ることが必要だ、と思って現地に飛び、そこから各種の活動にはいったといいますが、何もしない人たちが自己責任を言うのは本当に不気味な事態でした。
 最近のクジラやシーシェパード問題で思ったんですが、一言でいって「無関心」なのでしょうね。鯨を食べることに熱心なわけでもないし、鯨の生態調査の重要性を重視しているわけでもない。イラク戦争に特別強い正義を感じているわけでもないし、かといって憤りを感じるでもない、何人死んでも死ななくてもあまり興味がない。
 ただ何かあったときに「少し変わっていて弱い立場の人」を見つけると、いきり立って攻撃する。しかもただ弱いだけではなく、たとえば横暴な先生に「それはおかしいです」と正論を唱えるような生徒。その子に対して先生が「みんなこの子に石を投げなさい」といえば、少なくとも現在の権威からみれば「弱者」のレッテルが貼られたことになります。そうすると、とたんに力任せに石を投げつける、ああスカッとした。
 いろんな問題の中で、死刑問題はもっともこの構図に当てはまる気がします。

> 中国バッシングのネタとしてしか扱われていない気もします。今回の中国の死刑を日本がどれだけ批判しようが、なんの説得力もないですよね。日本という国は、どこまで核心から目を逸らし続けるのでしょう。
 これを言うことによって、「私たちにこんなことを言う資格があるのだろうか、日本の司法制度はどうなのか」という方向に行くのが人間の知性というものでしょうが、マスコミは巧妙に他人の悪口だけを言うように工夫し、読者にこびていますね。
 おそらく、「マシな」部類の朝日でそうですから、ほかの新聞だとどうなっちゃうんだろう、なんて思ってしまい、怖くて読めません。

170年前のアヘン戦争

マスコミの論調や護憲派の村野瀬さんなどの死刑反対派のブログでの意見を読んでも『可哀想だ』とか『けしからん』などの感情論が主でこの記事のような歴史的な考察は皆無。情けない限り。
アヘン戦争への言及も少数は見られたが日本軍の責任を真正面から取り上げたものは見かけない。
今の中国での麻薬犯罪に対する態度では、170年前イギリスではなく70年前の日本の方が影響が大きいでしょう。
今回の日本人被告の様に売買目的で大量に所持すれば死刑は免れないが、対して使用に対してはほとんど罰則規定が無いか微罪で、麻薬犯罪に対する考え方の違いが大きい。
中国では禁止薬物を売ったほうと買っ使用したほうとでは罰則が天と地ほど違う。
被害者(薬物中毒者)と加害者(麻薬業者)との厳格な区別であると考えられている様で、日本のように僅かな0・00何グラムなんて精密検査で分かる程度の数字では処罰されない。
どちらの考え方が正しいのか、?
考えさせられますが、日本の場合には諸外国に比べ買った方(中毒者)に厳しく、麻薬業者には比較的寛大ですが、これは矢張り被害者と加害者とを厳格に分離する外国基準の方が正しいのではないでしょうか。?
酒井法子のような単なる被害者(中毒者)をみんなで叩く日本は反省すべきで、
被害者ではなく、もう少し加害者(麻薬業者)に対する罰則や摘発を強化するべきです。
麻薬売買はスピード違反のような予防犯罪ではなく、現実に多くの人々の心身を根本的に破壊する凶悪犯罪ですよ。
厳罰化による抑止効果の話ですが、激情に駆られた殺人事件に対しては全く効果が無いが、リスクとリターンの兼ね合いを考えて行っているビジネスとして行っている薬物犯罪は問題点が全く違う。
厳罰の国が多い周辺アジア諸国に比べて日本が麻薬業者に寛大なら日本円の為替相場とも関連して間違いなく周辺から大量に流入するのは当たり前です。
現在薬物犯罪の量刑引き上げがに日本の国会でも取り上げられていますが、 テレビでCMが流れて何処にでも売っている『酒』を飲んでの交通事故で最高懲役30年などと世界的に見て異常極まる極刑にしているのですから、
量刑面でのバランス面からは嗜好品の酒ではなく禁止薬物使用なら飲酒運転の何倍か(30年の2倍なら60年)にしなければ釣り合いが取れないことになる。
ましてや麻薬販売では其れ以上の刑罰でないと釣り合いが取れないことになる。

>中国バッシングのネタとしてしか扱われていない気もします。

この事件でネットでは中国のこと見直したよという意見があったが、どうやらいわゆるウヨは平常運転のようだ。これで中国を批判する気はないようだ。むしろ死刑執行命令を依然として出さない自国の法相に対する批判があるようだ。

>それでも生きてさえいれば、少しおじさんになっても出てこれる。まだやり直すということは可能だ。

かといって、懲役で冤罪が許されるわけではない。そもそも刑罰による威嚇力がないというのが死刑廃止論者の意見だから

中国韓国との関係

逝きし世の面影さま、コメントありがとうございました。
 自民党政治の前半と後半に分けて、ここまで日本をぼろぼろにしたのも自民党(後半)だが、戦後発展させたのも自民党(前半)という見方もあって、しかし、朝鮮戦争などについてみれば、戦後もまた旧植民地国を使って発展したにすぎないとも言えるわけで、中国や韓国を見るときには日本がどう関わったかをまず考えてみる必要があるかもしれませんね(もちろん関係ない場合もあるでしょうが)。

コメントありがとうございました

> この事件でネットでは中国のこと見直したよという意見があったが、どうやらいわゆるウヨは平常運転のようだ。これで中国を批判する気はないようだ。むしろ死刑執行命令を依然として出さない自国の法相に対する批判があるようだ。

 水葉さんがウヨの話をしておられるということもないと思いますが。

> >それでも生きてさえいれば、少しおじさんになっても出てこれる。まだやり直すということは可能だ。
>
> かといって、懲役で冤罪が許されるわけではない。そもそも刑罰による威嚇力がないというのが死刑廃止論者の意見だから

 懲役なら冤罪が許されると言っている人でもいるのでしょうか。
 死刑廃止論者の意見は「刑罰による威嚇力がない」というものではないと思います。死刑にはないですね。死刑を自己目的化している人、効果があるないなんて関係ない、とにかく殺せ、という人の気が済むだけでしょう。

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