DATE:
2009/11/28(土) 17:27
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未分類
このところニュースというと事業仕分け、事業仕分けだが、実際のところ、こちらにはよく分からない。
もちろん、無駄を明らかにする作業は必要だし、それを密室から引きずり出すことも必要だ。
ただ、本当のところはお茶の間で観察するには難しい話が多いはずで、手っ取り早くショー仕立てにしようとするせいか、目に余る光景が連発している。
たとえば、次世代スパコン。「世界一でなくて二番じゃどうしてだめなのか」などはその典型である。これでは事業仕分けは単なる揚げ足取りの場である。
もちろん、切りたくなる気持ち自体は分かる。実際、その予算でハコ物を作るらしい。だから、使い道や効果について哲学をもって議論する場にすべきである。
いま日本のプロセッサは富士通のVenusといい、PS3(これは半分外国製)といい、別に国の予算と関係なく、世界一である。「インテル入ってる」というけれど、インテルしか入ってないのか、である。どうしてインテルの3分の1の消費電力で2.5倍の能力を持つと言われる日本のプロセッサが使えないのか、誰がじゃましているのか、という気になってくる。結局、必要なのはこれを活かすプラットフォームを整備することであって、最先端を目指すことではない。
たとえて言えば、F1で優勝するために国家予算を上げて戦うというのは、昔風に言うと"東側"のやり方である。それに対して、道路を整備し、高速道路を無料にして、誰でも自由に行き来できる、文字通り土台を作るのが国の仕事である。その上で所得分配が公平なら、みんなが買って乗り、燃費のいい、安全性の高い日本車ができてくる、それが日本のやり方である。最先端はフェラーリやマクラーレンに任せておけ、という話もできるのである。
だから、もし日本がコンピュータの方向にお金を使うとすれば、TRONやLinuxなどのOSを空気のように、道路のように誰にでも使える環境を整備し、その上に乗っかって優秀な日本のプロセッサが性能を競い合う、そういう環境整備を行うべきである。そして、その先にプロセッサを並列につないだ日本のスーパーコンピュータが育ってくる、これが日本のやり方であるべきだ。
私の言うことが間違っているかもしれないが、これはたとえばの話である。こういう議論を通じて国のあり方を議論し、事業仕分けを行うのであれば意味があるが、アイアコッカやゴーンではクライスラーや日産だけでなく、国をくい潰す。
さらに毛利衛さんが館長を務める科学未来館の予算、毛利さんが「こんなに努力して、入場者が増えてきた」というと「でも赤字なんですよね?」と仕分け人がいう。
そもそも黒字がでるなら、民間にできることであって、予算はいらないのである。教育も科学振興も福祉も国防も、赤字か黒字かといえば全部赤字だ。だから民間にはできない、そこで公というものが必要になるのだ。何のために政府があるのかという最低限の素養すらない人間が勘違いして権力をふるうという図式であれば、自民党政府と何ら変わらない。
もっと悪いことにノーベル賞学者たちなどを中心として批判が高まると、最終的には政治判断だと逃げる。だが、そもそも事業仕分けは最初から政治判断ではなかったのか。
もっとひどいのになると、ちゃんと説明しないから悪いんだ、という。黙秘しているならまだしも、被告人が無罪を真剣に訴えているのに、ちゃんと説明しないから死刑にしました、ということか。
政治家が絶対にやってはならないことは責任逃れだ。政治家が判断して官僚を従わせる、というのであれば、「責任は俺がとるから、これをしっかりやってくれ」というのが最初でなければならない。
理念はよいが実行部隊の力量不足が目につく。次期参議院選以降、本当に能力のある人が算入してくれることを望む。
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民主党政権による「事業仕分け」の第一弾(?)が終わり、見えないものが私たち庶民に見えるようになってきた。
その一つ一つの成果がどの程度であるかは即断できないが、ここに手を出した新政権に拍手を送りたい。
他方で、K学会は「論文盗用」問題(10月23日付け...
12月7日にデンマークのコペンハーゲンで始まる国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)を目前に、気候変動の研究者たちの私的な文書が大量流出し、地球温暖化に懐疑的な人々の格好の餌食になっている。
流出したのは、研究者たちの個人的な電子メールや文書
『科学と宗教の意外な近さ』
このモノーの『偶然と必然』くらい日本人にとって色々自分流に解釈が分かれる(利用?できる)物も少ない。
何しろ超一流(ノーベル賞受賞)の科学者の言葉ですから引用すれば、自動的に何となく『科学的権威』があるように相手(読者?)に
2010年が始まりました。
昨年2009年の日本ではいろいろなことがありました。最大の出来事は政権交代だったでしょうか。
ジミントー政権...
文科省腐敗がもの凄い
如何に日本の官僚が腐敗しているかを明らかにしました。このような行政では、日本だけが落ち込むのも当然です。
知識時代に、官僚が愚民化政策を行う国が成長する筈がありません。
子供に大切な文科省と学校が、どれほど腐っているかを知っていますか。
大学を天下り機関に変え、世界最低にまで堕落させたのは、文科省官僚です。
不登校、退学者20万人、引きこもり、ニート60万人を作る学校は、教育機関と名乗る資格もありません。学習塾や家庭教師に助けられる学校教員は、現在の半分の給与さえ受け取る権利が無いと思います。
文科省こそ、日本社会を衰弱させ、子供を不幸にする悪性癌です。「『おバカ教育』の構造」(阿吽正望 日新報道)を読むと、すべてのイカサマが分かります。絶対に許せません。
不道徳で無責任な腐敗官僚の行う事業は、国民にとって危険です。
事業仕分けで、文科省を廃止する必要があるとさえ思います。
それには賛成です
以前、羽仁五郎の文部省廃止論で、諸外国には日本の文部省のようなことをしているところはないと書かれていました。まあ役に立っていると言うところもゼロではないでしょうが、教科書検定をはじめとしてごちゃごちゃ口を出し過ぎなのは、よけいな象徴だから自分の存在証明がほしいのかもしれません。それに加えて、国立大学独立法人化、法科大学院の設置と天下りの食い扶持のためとしか思えないような「カイカク」が行われてきたように思います。
今回の事業仕分けも考え方としては大賛成ですが、実際にやる人が果たして適格なのかどうか・・・
何やら防衛利権のような
こんな事をしている国は日本だけではないでしょうか。?
2002年に政府が600億円出して当時世界一だったIBMのスパコンの5倍の能力のスパコン『地球シュミレート』を作り2年半にわたって世界一に君臨。
この日本の世界一のスパコンはICPPの地球温暖化ノーベル平和賞に貢献したとか・・・
本当に科学的に人為的CO2温暖化説を証明したのであれば平和賞ではなくノーベル物理学賞を受賞している。
いくらハードが立派でもソフトがお粗末では使い物にならない見本ではないでしょうか。?
何となく群馬県の八っ葉ダムのようにも見える。
入札に参加できる競争性はほぼゼロで完全な随意契約で国内メーカーNEC日立富士通の独占契約していたが今年5月にはNECと日立が撤退して富士通一社だけになって計画どうりの完成は到底望めない。完成までにどれだけ金がかかるか分からないところ八つ葉ダムに似ている。
02年設置の地球シミュレータの現在の価値は5億円なのですが維持費だけで50億円もかかり、維持費だけで最新の スパコンなら完成品を買ってもお釣りがでる。
1000億円以上の予算があれば科学技術の発展の為には既存の世界一のスパコンを数十台買い占めて各研究機関とか主要大学に一台ずつ設置することも可能。学問は自由に出来てこそ値打ちがある。
今日本の学術書や研究論文を英語に自動翻訳する完璧なソフトの開発して研究者に代わってサイエンスやネーチャー掲載するとか、あるいはもっと大胆に日本発の世界的科学誌の創設するとか、ハードよりソフト面でのリードが望まれる。
唯今度の仕分け作業ですが財務省の主導で、政治主導とは名ばかりで官僚主導の見本のような実態があるようですよ。
ただ日本では政治家の質よりも官僚の質の方が上なので一概に『官僚主導だからいけない』とは為らないようです。
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