最新の世論調査(2009年6月13,14日。共同通信)で麻生内閣の支持率は17.5%にまで一気に8.7%下落、自民党支持率も19.8%まで下がった。自民党の支持率は調査開始以来最低という。
しかし、それでも2割もの人が自民党を支持するというのはどうも解せない。たとえば、いま問題になっている日本郵政の西川続投問題で、小泉改革を否定するか肯定するか、という話がでているが、小泉人気がいまだにどこかに残っていると言うことだろう。
麻生はだめだと思っている人でも、小泉さんならリーダーシップがあった、今でも小泉が一番首相にふさわしいと思っている人がいるようである。それがほとんどゾンビと化している小泉、もはや終わっている自民党の支持につながっている気がする。
最近、「郵政民営化を問う国民投票」と小泉が問題設定した2005年の衆議院選挙について、もしそうならあの選挙では反対派のほうが多かった、国民投票なら負けていると見なければならない、と発言するコメンテーターも散見するようになった。郵政民営化をはじめとする「改革」はなんら正統性を有していない。
にもかかわらずいまだにだまされたまま小泉にリーダーシップがあったなどと思っている人には、実際に小泉改革の間に何が起こったか、もう一度考えてほしいと思う。
そこで、小泉「改革」の間に日本がどうなったのか、いくつかの側面から考えてみたい。
まず、一つの指標として国民一人当たりのGDPを考えてみる。2000年時点のトップ30位の国々がその後どう変化したか、ということである。すると下のようになる。
◆ 小泉政権時の成長率は(一人当たりGDP)| 国名 | 2000 | 2007 | 7年間の成長 |
| ルクセンブルク | 46,360 | 103,125 | 122% |
| ノルウェー | 37,520 | 83,485 | 123% |
| 日本 | 36,811 | 34,296 | - 7% |
| スイス | 34,802 | 58,513 | 68% |
| アメリカ合衆国 | 34,774 | 45,725 | 31% |
| アイスランド | 30,824 | 64,548 | 109% |
| デンマーク | 30,065 | 57,137 | 90% |
| スウェーデン | 27,736 | 49,603 | 79% |
| アイルランド | 25,565 | 60,209 | 136% |
| イギリス | 25,142 | 46,099 | 83% |
| オランダ | 24,251 | 46,774 | 93% |
| オーストリア | 23,935 | 44,852 | 87% |
| カナダ | 23,661 | 43,674 | 85% |
| フィンランド | 23,612 | 46,856 | 98% |
| ドイツ | 23,168 | 40,400 | 74% |
| ベルギー | 22,669 | 42,618 | 88% |
| フランス | 22,578 | 42,034 | 86% |
| オーストラリア | 20,328 | 43,163 | 112% |
| イタリア | 19,293 | 35,745 | 85% |
| スペイン | 14,464 | 32,090 | 122% |
| ニュージーランド | 13,557 | 30,390 | 124% |
| ギリシャ | 11,627 | 28,152 | 142% |
| ポルトガル | 11,082 | 21,082 | 90% |
| 韓国 | 10,891 | 20,015 | 84% |
| メキシコ | 6,419 | 9,717 | 51% |
| チェコ | 5,548 | 16,956 | 206% |
| ハンガリー | 4,690 | 13,745 | 193% |
| ポーランド | 4,454 | 11,072 | 149% |
| トルコ | 4,225 | 9,569 | 126% |
| スロバキア | 3,768 | 13,857 | 268% |
| 日本以外の諸国の成長(平均) | 111% |
(
IMFのデータより抜粋。単位はUSドル。なお平均は単純に表を集計して計算したもの。日本以外の29の政策の平均という意味になる)
日本は2000年の時点では世界第三位だった。その後、小泉改革の時代に入り、どう変化していったか。日本以外の国は平均で111%成長している。日本以外で悪いところを見ていってもアメリカの31%、メキシコの51%。それでもきちんと成長している。
なお、特にヨーロッパの成長について、ユーロ高が進行したに「過ぎない」などと言い訳する人もいるのだが、ある国の通貨が高くなるというのはその国の労働の価値が上がったことを意味する。日本人はいままで他国に対して「え、貧しい国では一ヶ月働いて7000円しかもらえないの?」などといってきたのだが、いまや同じようなことをユーロ圏からいわれるような国に成り下がったと言うことである。
この表は2007年であるが、この時点で19位にまで落ちた。先進国がG20などと言われるとすればトップクラスからほぼ最下位まで転げ落ちたということである。こんなことができるのは小泉に「リーダーシップ」があるからに違いない。普通のリーダーだったら、こうなりかけたところでとっくにクビになっている。
なお、2008年はもっとしたに行くといわれている。もはや先進国ではないのだ。
◆ 所得分配を公平にしたか それでもよいではないか、GDPで計ること自体間違っている。日本は成長至上主義など採っていないのだ、所得分配を公平にするため努力している、と言うのならわかる。ところが、次の表(
東洋経済のサイト)によると日本は政府がむしろ格差を拡大している(片親家庭の貧困率の変化)。

日本人は税金を払って国を悪くしてもらっているのである。教団をぼろぼろにしてくれる教祖を支え続ける信者はもはや狂信者というしかない。
◆ 国の借金は減ったのか それでもまだよいではないか、成長はしないし、所得分配も改善されないかもしれない。しかし国の赤字は減っている。将来の国民に負担をかけることもないのだ、というのならまだよい。
OECD Economic Outlookより(このページのAnnexTable32政府の借金のところ。Excelファイルのダウンロード)。国の借金(名目GDPとの%比率)
| 国 名 | 2000 | 2007 | 対GDP 増減 |
| オーストラリア | 25.0 | 15.4 | -9.6 |
| オーストリア | 71.0 | 61.9 | -9.1 |
| カナダ | 82.1 | 64.1 | -18.0 |
| チェコ | - | 38.4 | - |
| デンマーク | 57.1 | 31.0 | -26.1 |
| フィンランド | 52.4 | 41.5 | -10.9 |
| フランス | 65.9 | 70.1 | 4.2 |
| ドイツ | 60.4 | 65.5 | 5.1 |
| ギリシャ | 114.9 | 102.3 | -12.6 |
| ハンガリー | 60.1 | 72.0 | 11.9 |
| アイスランド | 41.0 | 24.0 | -17.0 |
| アイルランド | 40.1 | 27.9 | -12.2 |
| イタリア | 121.6 | 113.2 | -8.4 |
| 日本 | 135.4 | 170.6 | 35.2 |
| 韓国 | 16.3 | 28.9 | 12.6 |
| ルクセンブルク | 9.3 | 9.9 | 0.6 |
| オランダ | 63.9 | 51.7 | -12.2 |
| ニュージーランド | 37.4 | 25.3 | -12.1 |
| ノルウェー | 34.0 | 57.9 | 23.9 |
| ポーランド | 45.4 | 52.5 | 7.1 |
| ポルトガル | 61.1 | 70.1 | 9.0 |
| スロバキア | 57.6 | 36.5 | -21.1 |
| スペイン | 66.5 | 42.7 | -23.8 |
| スウェーデン | 64.7 | 47.0 | -17.7 |
| スイス | 52.5 | 48.6 | -3.9 |
| イギリス | 45.1 | 46.9 | 1.8 |
| アメリカ | 55.2 | 62.9 | 7.7 |
| ユーロ圏全体 | 75.3 | 71.4 | -3.9 |
| OECD全体 | 69.5 | 75.0 | 5.5 |
小泉の時代の借金の増え方は異常である。借金王と自らを揶揄した小渕をはるかに超える。
◆ 環境への負荷は減ったのか それでもよいではないか、日本は成長しなかったが環境に負荷をかけなかった。安倍さんが高らかに50パーセント二酸化炭素排出量を減らすんだ、と宣言したとおり、日本は環境の国になったんだ、というのであればまだわかる。
二酸化炭素排出量の変化(単位:100万トン)
| 1990年 | 2000年 | 2004年 | 2005年 | 増減 |
| 日本 | 1,272.0 | 1,347.6 | 1,357.0 | 1,359.9 | +7% |
| イギリス | 771.4 | 674.0 | 660.4 | 657.4 | -15% |
| イタリア | 516.9 | 551.6 | 577.9 | 579.5 | +12% |
| ドイツ | 1,227.9 | 1,019.8 | 1,025.0 | 1,001.5 | -18% |
| フランス | 567.3 | 564.1 | 561.0 | 558.4 | -2% |
EU 15カ国平均 | 4,257.7 | 4,136.1 | 4,229.5 | 4,194.3 | -1% |
総務省統計局のページ
より これでもう一つ恥ずかしいのが環境先進国だの、環境政策で世界をリードするなどと洞爺湖サミットなどでものたもうていることである(もちろん、のたもうたのは安倍で小泉ではないが)。クラスでビリの生徒がトップの生徒に向かって勉強について説教をたれ、周りがそれをニヤニヤしながら見ている。笑われているのはわれわれ日本人自身である。アホを選ぶのは国民がアホだからだ、ということか。
なお、私はもともとCO
2の排出を減らしましょうなどと考えていないので、別にこれ自体あまり大きな問題ではなく、むしろ、それに対する警戒のほうが大事だと思っている。たとえば、最近の電気自動車ブーム(?)などは、もし本当にこのまま普及したら結局夜間電力で充電することになって、電気自動車ではなく原子力自動車なんじゃないの、というような警戒である。実際には
軽自動車より小さく、航続距離も160キロくらいしかない自動車を500万円近くで売る(すでに外国では200キロ走る200万円くらいの車ができている)らしいので、できの悪いものをわざと作って普及を妨げる石油業界の陰謀のような現状であり、いまのところ警戒するだけバカらしいのだが。
二酸化炭素それ自体の話は別として、えらそうなことをいいながら成長もしてないのに、排出量まで増やしてるんじゃいいとこなしじゃないか、といっているのである。
結局小泉の時代とは何だったのか。失われた10年のあとどん底への6年。世界最低の成長率、そして格差の拡大、さらに国の借金の突出、経済が停滞しているくせに増え続ける二酸化炭素の排出。
これを「リーダーシップ」と信じるとすればもはや信頼というより狂信である。イカレタ宗教団体というのはこういうものなのだろうか。
貧しくなる一方の日本
1995年 58,700円
1996年 60,800円
1997年 66,900円
1998年 55,800円
1999年 54,800円
2000年 60,300円
2001年 58,300円
2002年 54,900円
2003年 42,700円
2004年 38,300円
2005年 40,600円
2006年 45,400円
2007年 48,800円
2008年 46,300円
2009年度は、2004年並みに低い金額となるのではないでしょうか。
また、公的教育費負担率や社会保障費水準に関しても、日本は先進国中最下位になっています。
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/3950.html
http://hodanren.doc-net.or.jp/kenkou/gkhtml/gktop/gk6s/gk6s1p/gk6s1p.html
政治家が国を売った結果
数字でコイズミカイカクの全貌を示す素晴らしいエントリーです。
いつもながらお見事な分析です。
私も、党首討論を見て思ったのですが、アベの辞任とフクダの辞任で、国会空転して無駄に失った税金200億があれば、母子加算廃止せずにすんだのにと・・・
赤字国債でバラマキの後に、消費税大増税が財源論と言えるのかと・・・
現時点で、麻生首相を支持する自民党の国会議員は4名程度とか、それ以上に国民が支持しているとの数字は、私にはアンビリバボーな数字です。
いや〜こうやって見ると
ニポンヲワタ
本当に救いのない馬鹿な国民
これらの手法やパフォーマンスを支持する勢力、ネオナショナリストやいわゆるB層。あっ あとこの人たちをミスリードする様々な既得権益者。
本当に救いのない馬鹿な国民か!?今度の総選挙ではっきりします。
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